それは地球が21世紀初頭コロナウイルスに襲われてから200年が経過していた。
ネーネーじいちゃん、どうして地球はこんなことになってしまったの?
ケンが住んでいる野山から緑が消えてしまっていた。
森が消えたことで鳥たちをはじめ動物たちも食べ物やすみかがなくなり
たくさんいた森の小動物たちも全くいなくなってしまった。
ケンたちも食べ物もほとんどなくなり毎日食べることができなくなっている。
大洋に沈んでいく真っ赤な太陽が二人の顔を染めていた。
じいちゃんは寂しそうにケンの肩をそっと抱き寄せた。
そして答えた。
そうだね、昔の大人たちが贅沢しすぎたのだよ。
じいちゃんは遠くに目線を送り静かに言った。
ぜいたく?孫のケンには「ぜいたく」という言葉がわからなかった。
ネーネーじいちゃん、昔の人達は毎日3回もたべていたとは本当なの?
そうだよ。それもごちそうをお腹いっぱい食べることができたのだよ。
そのため今のケンとは違い大人も子供たちも体は丸々と太っていたそうだ。
やせ細った二人には想像もつかないことであった。
じいちゃんは続けて話し出した。
しかもね、美味しいものを食べ過ぎて病気になる人がたくさんいたみたいだよ。
病気になるまで食べたの?ケンには理解できなかった。
じいちゃんはさらに話を続けていく。
食べ物も、少しでもふるくなると賞味期限が過ぎたといって捨てていたそうだ。
「ショウミキゲン?」じいちゃんそれどういうことなの?
「ケン!それはね」とおじいちゃんは伸びたあごひげをなでながらこたえた。
まだ食べることができるのに一番おいしいころに食べることにしていたんだよ。
食品ロスといって問題になったこともあったようだがね…..。
「しょくひんロス」ケンは再び理解できない言葉であった。
それはねケン!とじいちゃんはまたひげをなでながら答えた。
まだ食べることができるのに新しいものが次々できるのでどんどん捨ててしまうことだよ。
まだまだおいしく食べられるのに古くなる前にたくさんの食品が捨てるとはケンには到底理解することができなかった。
ねえじいちゃん昔の人は、どうしてそんなもったいないことができたの?
つづく
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